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薬剤師ブログ

薬剤師によるブログの更新を行います。

2025.01.30

薬剤師とフェイク②

 

まず、なぜフェイクやデマがはびこるのか。
 

情報爆発とも呼ばれるほど、情報の氾濫する現代社会。情報に対して向けられる人々のアテンション(注意・注目)や、割くことのできる時間は相対的に希少なものとなります。そのため、インターネット上で人々の注目を集める・強く反応するものがより価値を持ち、流通することになります。これはアテンション・エコノミーという経済モデルとされます。

タイムパフォーマンス、コストパフォーマンスが重視され、まとめサイトやショート動画が評価される所以でしょうか(ファスト映画なんていうものもありました)。

 

アテンションを集める情報も、新聞・雑誌、テレビからインターネットへと軸足を移し、オンラインの広告、記事や動画などのコンテンツが主要な位置を占めるようになりました。そして特徴的なものとして、あえて真偽の定かでない内容や過激な言説で耳目を集める、いわゆる炎上商法が出現します。閲覧回数や再生回数を稼ぎ、「バズらせる」ことが第一義的なものとなります。

 

さらに、政治的な目的を持った例として顕在化したのが、2016年の米国でのトランプ政権の誕生や、英国の欧州連合離脱の際にみられた現象、ポスト・トゥルースです。

ポスト・トゥルースは「真実の終わり」とも訳されますが、つまりは「客観的事実を述べるよりも、個々人の感情や信念に訴えかける方が強い影響力を持つ」という概念です。特定の勢力や団体がSNSなどで虚偽情報を大量に拡散し、しばしば既存のマスメディアを圧倒して世論を形成する、極めて組織的、政治的な手法とされます。

 

 

一方で、人々は、なぜフェイクやデマを受け止め、信じ込んでしまうのか。
 

フィルターバブル、という現象があります。

グーグルやユーチューブといったインターネット上のプラットフォームでは、利用者の履歴からデータを分析し、その利用者の好む、興味のある情報を優先的に表示します(パーソナライズ、といいます)。興味のない情報や反対意見はフィルターで遮断され、自分好みの情報だけで膨らんだ泡(バブル)に覆われる結果、利用者は一面的なものの見方しかできなくなります。

また、似たような興味・関心を持つ仲間がSNSでフォローしあって交流を深め、自分の意見と似た意見が返ってきて反響(エコー)を繰り返していく結果、特定の意見や思想が正しく間違いのないものととらえてしまう。これはエコーチェンバーと呼ばれる現象です。

そして、人には「自分の見たいものを見る・信じたいものを信じる」という心理、確証バイアスがはたらきます。いったん確信を持つと、都合の悪いことには目をつぶり、耳をふさいでしまうのでしょう。

 

 

総務省|令和5年版 情報通信白書|インターネット上での偽・誤情報の拡散等総務省

インターネット上の偽情報や誤情報にご注意! | 政府広報オンライン

 

では、フェイクを見破り、惑わされないようにするにはどうしたらいいのでしょうか。

 

①信憑性のある情報かどうか、見定める

 

誰が発した情報か? 発信者個人の見解か? 他の意見はないか? 確かな根拠に基づくものか?

誇張された宣伝・広告ではないか? 加工された情報、ゆがめられた伝聞などではないか?

 

しかし、災害時などの混乱している状況や、マスコミ等により報道されず情報の少ないケースでは、フェイクやデマが拡がりやすいとされます。また、元となった情報が専門知識の必要なものであったり、海外のニュースである場合など、理解して判断するのが難しいケースもあります。

 

②さまざまな情報源を持つようにする

 

新聞、テレビでどう報道されているか? 行政機関や国際機関の発している情報はどうか?

 

新聞や雑誌、書籍など紙媒体の情報伝達は、インターネット上のそれに比べてしばしば遅れがち。緊急の場合は、新聞の電子版やテレビ局のニュース動画などの情報が有用となるでしょう。

 

いちいち調べるのは手間もかかり、タイパ、コスパがよくないかもしれません。

しかしながら、時にはパフォーマンスなどさておいて、スマホも脇において、本を広げ、デジタルデトックスするとよいのでは。

のんびり、釣りに興ずるのもいいでしょう(個人的見解)。

 

(薬剤師:岡部 正史)

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