年が明け、1月も下旬となりましたが、今年も、はるか薬局をよろしくお願いいたします。
1日に発生した能登半島地震により、現在も救援活動や避難生活が続けられておりますが、亡くなられた方には謹んでお悔やみを申し上げるとともに、災害にあわれた方には心よりお見舞いを申し上げます。
今回は、今年の干支=辰年にちなんで、名前に「竜」の入っている薬をとりあげてみます。
① 小青竜湯
鼻水や咳の症状などによく用いられる漢方薬、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)。構成される生薬の一つが、植物の麻黄(マオウ)です。
古来より緑色を青色と呼ぶことがありますが、マオウの茎の緑色から「青竜湯」と名付けられたようです。なお、青竜湯には大青竜湯と小青竜湯があり、小の方は作用が穏やかであるとされます。ちなみに、青竜は、玄武、朱雀、白虎とともに、五行説でいう中国の四神の一つですね。
② 竜骨
竜骨(リュウコツ)は、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)などを構成する生薬です。竜ではなく大型の哺乳類の化石化した骨が原料として用いられ、精神安定作用があるとされます。
③ 竜胆
竜胆(リュウタン、リンドウ)は、文字通り、リンドウ科の植物の根を用いた生薬。健胃薬として用いるほか、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)に見られるように泌尿器症状にも用いられます。
④ 竜眼肉
竜眼肉(リュウガンニク)は、ムクロジ科の植物・リュウガンの果実を乾燥させたもの。滋養強壮や鎮静作用があるとされます。
⑤ 地竜
地竜(ジリュウ)は、蚯蚓(キュウイン)とも呼ばれる、乾燥させたミミズで、解熱作用がある薬として古くから使われてきました。
こうしてみると、漢方薬・生薬につけられた「竜」とは、霊験あらたかなもの、神のような力のあるものを指しているのでしょうか。
古代も現代も変わらず、薬は健康に必要不可欠なもの。
地震の被災地では、薬や食料、水、暖房や住まい・・・多くのものが不足していることと思います。
民医連の緊急支援募金をはじめ、各団体の募金に少ない額ながらも募金をさせてもらいましたが、一日も早い復興を祈っております。
(薬剤師:岡部 正史)