気温が上昇して日照時間も長くなり、植物たちも葉を広げて生き生きとしています。
植物細胞内の葉緑体に含まれる色素・クロロフィル。赤や青の波長の光を吸収し、その光のエネルギーが電子を介して次々と物質の間を伝わっていき、二酸化炭素と水からブドウ糖がつくられます。いわゆる光合成です。
(クロロフィルaの構造)
動物細胞が持つ色素・ヘムも、共通した構造(ポルフィリン環)を持っています。ヘムとタンパクが結合したヘモグロビンはヒトの赤血球に含まれる分子で、酸素をキャッチ&リリースすることで細胞の呼吸を担います。

(ポルフィリンの構造)
ポルフィリンを含む生体分子は、ほかにも筋肉に含まれるミオグロビン、呼吸には不可欠のシトクロームc、代謝酵素 シトクロームP450(CYP)など、枚挙にいとまがありません。
なお、医薬品にもポルフィリンが存在します。メコバラミン(商品名 メチコバール錠500μg)やシアノコバラミン(商品名 サンコバ点眼液0.02%)といったビタミンB12が挙げられます。
ポルフィリンのような色素だけでなく、タンパク質や糖、核酸なども、動植物共通。いずれも生命活動に欠かせない物質です。
生物の設計図たる遺伝子ですが、最近の研究結果によればバナナと人間は遺伝子が50%ほど同じだそうです。植物たちも意外と私たちと近縁であるかもしれません。
もしかすると、うちの田舎の祖母のそのまた曾祖母の分家の、遠い親戚のおばさんのまたいとこの祖先がバナナだったかも。
私たちがものを食べ、呼吸をして生きていられるのも、生産者たる植物たちのおかげ。
夏野菜いっぱいのカレーをもりもり食べて、植物エネルギーを取り入れようと思います。

(薬剤師:岡部 正史)