巷で話題のChatGPT。画期的な人工知能として、評価を高めています。
薬剤師的には、患者さんの服薬支援に役立つツールになるのか?はたまた、有能すぎて薬剤師の職が脅かされる存在となるのか?
ちょっと使ってみた印象を書いてみます。(個人の感想であり、効果・効能には個人差があります)
薬剤師の業務の主要なものの一つは、薬の飲み方や注意点を説明すること。患者さんになったつもりで、薬について質問してみました。
「リピトール錠とプレタール錠、アダラート錠っていう薬を薬局からもらって飲んでいるけど、食べちゃダメなものってある?」
註:リピトールは薬剤としての商品名で、化学物質としての一般名はアトルバスタチン。コレステロールを下げる作用がある。同様に、プレタールは一般名シロスタゾールの商品名。血栓の形成を予防する。アダラートは一般名ニフェジピンの商品名。血圧を下げる働きをする。いずれも、グレープフルーツやそのジュースを摂取することは避ける必要がある。
「リピトール錠とプレタール錠はともにコレステロールを下げる薬、アダラート錠はADHD(注意欠陥多動性障害)の治療に使われます。これらの薬は、特定の食べ物を避ける必要はありません。」
とのこと。リピトールの薬効についてはまあ正しいが、ほかの薬の説明も結論もなかなか適当。
「よく、グレープフルーツと食べ合わせがよくないって聞くんだけど?」
とヒントを出すと、
「リピトールとプレタールはダメだが、アダラートは食べても大丈夫。」
と一部発言を修正。
「アダラートはつまりニフェジピンだからダメでしょう?」
と指摘すると、
「ニフェジピンはアダラートとは別の薬剤です。アダラートに含まれるメチルフェニデートは中枢神経に作用しADHDを・・・」
と、アダラートをどうしてもADHD治療薬だと主張して譲らない。しかしADHD好きだな。
さらに突っ込むと、アダラートに含まれるアデノシンは・・・とか、どんどんボロが出る。知ったかぶりか?ひとまず、医療や薬の話は苦手なようです(商品名と一般名の違いもあって、難しかったか)。
なお、薬以外の質問については、的を射た受け答えをしてくれるという印象でした。眠たい時に目を覚ます方法、お勧めのペット、観葉植物のチョイス、などなど。
Webの情報を収集し、こちらの返答にも話を合わせてくれるのはいいですが、誤ったデータや偏った言説も受け入れて学習してしまいそう。リテラシーがなかなかに怪しいです。
相手の話に合わせ、ささっとググって優しくアドバイス、でも知ったかぶりして適当なことも言う。・・・ある意味、なかなか人間っぽい仕様なのかもしれません。
そのほか、2021年以降に起こったイベントについては知識が不十分だとか、日本語の読解は英語ほど得意ではない、といった制約もまだありますが、バージョンアップして進化を遂げたら恐ろしく有能になるかもしれません。
後編に続きます。
(薬剤師:岡部 正史)