はるか薬局
menu

薬剤師ブログ

薬剤師によるブログの更新を行います。

2023.02.07

マスクはしなくていいものか?②

 

「マスクは、ワクチンを打ったから必要ない?」

 

デルタ株によるブレークスルー感染が確認され、ワクチン接種後であっても再感染する恐れがあることが判明しています。マスクを着用しての会話や3密を避けた行動が引き続き求められます(「ワクチン接種後のブレークスルー感染」 なぜワクチンと感染予防対策の両方が必要なのか:厚生労働省)。

免疫の働きをすりぬけるオミクロン株などのさらなる変異株が次々に現れており、変異株に対応した二価ワクチンも使用されていますが、追加接種後であっても決して油断ができない状況であることには変わりがないと思われます。

 

「海外ではマスクをしていない?」

 

アメリカ合衆国を例にとると、2021年5月、米国疾病予防管理センター(CDC)では2回のワクチン接種終了後は屋内外でのマスク着用義務を解除していましたが(公共交通機関、およびその構内を除く)、同年のデルタ株による感染の急増を受け、感染が深刻な地域ではワクチン接種を完了していても、屋内ではマスクを着用するよう勧告していました(ワクチン接種でも屋内でマスクを、米が方針転換 感染拡大地域で:ロイター)。

その後、公共交通機関、およびその構内でのマスク着用義務を廃止するなどの動きがあり、屋内でのマスク着用については総じて緩和する方向に向かっています。

このように、アメリカでは、地域ごとの感染リスクに応じ、着用を義務づけたり解除したり、対応を変えているのが実態です。一方で、マスク義務化を嫌う保守的な支持者が多い共和党の知事の下では、CDCの勧告に従わず法による義務化をおこなわないことなどもあり、州や市によって対応にばらつきがある状況でもあります。

また、欧米ではマスク着用を嫌う傾向がある一方で、アジアではマスクに比較的抵抗がないなど、国や文化圏、あるいは感染状況による程度の差はありますが、誰もマスクをしていない、というわけではありません。

もし、日本でも「マスクを着用しなくていい」という認識が広がった場合、どうなるか。参考になる事例研究があります。

アメリカのマサチューセッツ州では、マスク着用を解除した学校はマスク着用を続けた学校に比べ、COVID-19発症率が1.6~2.5倍へと、明らかに増加。論文では、マスクを外すための判断基準を明示することが重要だと結論づけています(マスク着用解除の学校でCOVID-19患者が増加:日経メディカル)。

 

アメリカの感染症研究の第一人者、アンソニー・ファウチ博士(主席医療顧問、国立衛生研究所所長、国立アレルギー・感染症研究所所長などを歴任)は、日本が感染による死者数をある程度まで抑えられ、感染対策が比較的うまくいっていると評価し、マスクの着用をしっかり守り3密を回避したからだと述べています(新型コロナ対策 マスクは?ワクチンは?米ファウチ博士に聞く:NHK)。

安易に「マスク着用は個人の自由」などとせず、リアルに感染状況を見据えた慎重な対応が今後とも必要ではないでしょうか。

2月3日は、節分(鬼やらい)。鬼とは、古来より疫病の象徴でありました。ウイルスも、しっかりとした感染対策で追い払いたいものですね。

                                                  (薬剤師:岡部 正史)

はるか薬局
〒085-0055 北海道釧路市治水町6番2号
TEL 0154-31-7811 FAX 0154-31-7773