年が明けて1月が過ぎ、2月に入ってしまいましたが、今年もはるか薬局をよろしくお願いいたします。
さて、1月27日、厚生労働省の厚生科学審議会感染症部会による「新型コロナウイルス感染症の感染症法の位置づけについて」という文書では、「5類感染症に位置づけるべき」と明確に打ち出しています。一部引用します。
「マスクや換気等の基本的な感染対策については、行政が一律に適用すべきルールとして求めるのではなく、個人の主体的な選択を尊重すべきである。個人の判断に委ねることを基本とし、今では過剰とも言える感染対策はできる限り早期に見直しを行いつつ、新型コロナウイルス感染症の特性を踏まえ、有効な方法について、引き続き丁寧に情報発信し、国民の理解と協力を得られるようにすべきである。」
このへんが、少しひっかかりました。季節性インフルエンザと同等の5類相当に落として国の財政的な問題を解消し、マスク着用など感染対策も緩和して経済活動を回したい、という思惑がうかがえますが(医療費負担については急な変更はせず、段階的に変更するのかとも思いますが)、マスク着用の判断を個々人に委ねてしまうのはいかがなものか。
ここで公的機関の発表、データをもとに、マスクの意味、有効性を確認してみることにします。
「マスクは効果がない?」
東京大学の研究により、他者と会話をする際の距離が50cmであっても、不織布マスクを着用していれば飛沫を吸い込む量の47%を抑え、飛沫を拡散する量の70%を抑える、ということがわかっています。
また、理化学研究所のスーパーコンピュータ「富岳」の計算から、マスクは大きな飛沫の拡散を100%、小さな飛沫の拡散も70%防ぐ、という結果が出ています(感染拡大防止に向けた取組:内閣官房)。
無症状感染者も少なくないこと=いったい誰がキャリアでウイルスを拡散させうるのかがわからないことが、感染拡大の大きな要因。誰もが、100%感染していないと言い切れない以上、屋内外を問わず、人の集まる公共の場でのマスク着用は必要と思われます。
一方で、密を作らず、適切な換気をすることが必要です。特に気温の下がる冬季は、屋内施設の空気が滞留して換気が不十分であったためにクラスターが発生しています(アジアリーグアイスホッケー競技大会における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)事例:国立感染症研究所)。
長くなったのでいったん終了、後半に続きます。
(薬剤師:岡部 正史)