1月も下旬となりましたが、みなさま、あけましておめでとうございます。
今年もはるか薬局をよろしくお願いいたします。
さて、今年の干支、午(うま)にちなんで「馬と薬」について書こうと思ったものの、ネタが思い浮かばず・・・。
「西遊記」に登場する三蔵法師の一行の馬(もともとは龍)の尿を使い、孫悟空が丸薬をこしらえた話くらいでしょうか。西遊記には現在でも使用される漢方薬もいくつか出てきて興味深いのですが、この話については、また別の機会に。
さて、薬と関連はしませんが、「塞翁(さいおう)が馬」という中国の故事があります。
国境の砦のあたりに塞翁という老人が住んでいました。ある日、家の馬が逃げてしまい、不運なことだね、と人々は翁を慰めましたが、しかし翁は「これは運のいいことになるよ」と言います。そして実際に、家の馬はいい馬1頭、連れて帰ってきたのです。運のいいことだ、と人々が祝福すると、翁は「これが不幸になるよ」と言います。すると、翁の息子がその馬から落ちて足を怪我してしまいました。人々は慰めましたが、翁はまた「これは運のいいことになるよ」と。しばらくして国境を越えて異民族が攻め込んできたため、砦の付近の10人に9人は戦って死んでしまいましたが、息子は足の怪我で戦えなかったため無事であったといいます。
人生、なにが幸運でなにが不運なのかわからない、万事、大局的にとらえよう、ということなのでしょうか。
似た言葉に、「禍福は糾(あざな)える縄の如し」というものがあります。これは、ねじられた縄のように代わる代わる幸運と不運が訪れるというもので、よりシンプルでわかりやすい。
どちらも、人生はいろいろあるね、あまり目の前のことにとらわれすぎないほうがいいね、という教訓であり、メンタルヘルスによい考え方かもしれません。
「禍を転じて福と為す」という言葉もありますが、これはピンチをチャンスに変えよう、というマジックに近いフレーズ。ビジネスシーンで使われそうな、人を勇気づける文言ではありますが、大逆転やV字回復を目指そうとすると少々重たく感じますね。
「馬耳東風」という言葉にあるように、馬はマイペースで、しかしながら繊細、かつ力強い生き物。馬のように、時には軽やかに疾走し、時にはのんびり草をはむ。そういう年にしたいかな、と思います。

(矢臼別の人懐っこい馬たち)
(薬剤師:岡部 正史)